【完】愛の血−超勝手な吸血鬼


仁奈の頬に流れ出る血。

それは俺の血がついたんじゃなく、さっき繭に切られた場所から流れ出る、仁奈の血。


それを舐めると、やっぱり甘く……俺を欲情させる。



なにが“相手”の第二候補だ?

なにが、私は血をあげれるだ?

なにが、触らないでだ?



俺が欲しいのは、仁奈だ。



お前みたいに男を物だと思ってる女じゃない。

足を開けば誰でも自分の物になるって思ってる女じゃない。

自分の思い通りに進まないことに我慢出来ないガキみたいな女じゃない。



「繭、これ以上コイツになんかしたら本気で殺すよ?
今すぐ俺らの前からキエロ」



繭は、俺が手に入らなかったからこんな事したんだろ?

だけど俺はそれを許せるほど優しくはない。


でも、俺のことを掴むこの腕が震えているから。

仁奈が怯えた目で、だけどどこか哀しそうな目で俺を見るから。


今回は逃がしてやる。

だけど一生、俺の前に現れんな。



例え、仁奈の血がもらえなくて、俺の寿命が20歳までだったとしても。

俺は、お前の血だけは飲まない。

飲みたいとも思わない。



それくらいに、コイツの味を知ってしまったから。

もう、俺が手遅れだ。




~冬夜 story4~

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