【完】愛の血−超勝手な吸血鬼


「えっ? な、なんで?」



驚きを隠せないあたしは、椎名冬夜の掌をぎゅーっと引っ張りながら見直した。



「ちょ、それは、まだ痛い」

「あ、ごめ……。
え? でも傷は!?」



そう、傷は?

あのナイフ実はおもちゃだったとか?

いやいや、でもあたしの顔は切れたよ?

それに血は?

なに、これケチャップ!?



「……多分また、お前へんなこと考えてね?」

「へ?」



マヌケな声を出すあたしに、椎名冬夜はクスクス笑い。

そして少し考えた後、真面目な声を出す。

< 277 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop