【完】愛の血−超勝手な吸血鬼


真っ赤にして怒るあたしの顔を見て、小さく溜息を吐くと


「おばさんが仕事で朝早くて、お前が遅刻しないか心配だって言うから、見に来てやったんだろ」

「誰も頼んでないんですけど」

「お前の親に、頼まれたんですけど」

「ぬぁ!?」


あんの、親め〜!


年頃の娘のいる家に、引っ越して来たばっかりの男を入れるか普通。

てか、何でよりによってコイツに頼むかなぁ。


「なら、もう結構です。起きれるんで気にしないで下さいっ!」


ふんっ。と鼻を鳴らすと


「目覚まし鳴りっ放しで迷惑してるのは、コッチなんだけど」

「は? ちゃんと止めてます!」

「一体、何回鳴らせば起きるわけ?」


……。

隣にも聞こえてるんだ、目覚ましの音。


「俺、お前の目覚ましのせいで眠いんだけど」

「そ、そんなの勝手に起きるから悪いんじゃん」

「合わせた時間に起きないんなら、起きる時間に合わせろよ」


……。

その通りだけど。


「てか、もう行くぞ。俺まで遅刻する」

「勝手に行けばいいでしょ……って、もうこんな時間!?」


顔を反対方向に向け、残ったパンを食べようとしたのに。


時計は、8時を過ぎていて。


ヤバイ!
これ、遅刻しちゃうっ!!!
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