【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「冬夜ー! 冬夜ー!」
「なに、母さん?」
呼ばれた方へと向かうと、玄関に居たのは母さんと、仁奈のお母さんだった。
「あ、冬夜君おはよう」
ニッコリと微笑んだ仁奈の母親に
「おはよーございます」
と挨拶を返しながらも、俺は首を傾げた。
こんな朝っぱらから何してんの、この2人は?
「今ね。
ちょうどゴミを出そうと外に出たら、ちょうど仁奈ちゃんのお母さんも出てきたの。
仁奈ちゃんのお母さん、今からお仕事らしいんだけど、
仁奈ちゃんがまだ寝てるらしいのよー。
でね冬夜に起きてるか見て欲しいんですって!」
そう早口で説明した母さんは、チャンスよ! と言いたげな顔で俺にウィンクをする。
いい歳して、なにウィンクとかしてんだよ。
「冬夜君、お願いしていい?
あの子、何回起こしても起きなくて」
「え、あーいいですけど」
「よかったー!
もし起きなかったら蹴飛ばしてやってね。
鍵は開けておくから」
そうニッコリ笑うと小走りで仕事へ行ってしまった。