風に恋して
「熱があるな」

レオが眉根を寄せて、リアの額に手を当てる。

熱と言っても、平熱より少し高い程度。それ以上に熱いのは、レオが触れる場所で。

「セストはマーレ王国との定例会議に行かせてて、あぁ、ディノも今日は講義だったか……なら、イヴァンを呼んでやるから」

そう言ってレオは胸元から紙を取り出した短く言の葉を乗せてフッと息で飛ばす。

「レオ様、コット家のご当主がお見えです」
「今行く。リア、すぐにイヴァンが来るだろうから悪化する前に処置してもらえ」

カタリナがレオを呼びに来て、レオは彼女と共に慌しく部屋を出て行った。

「熱……」

閉まった扉を見つめて、リアは呟く。そして、レオが触れた頬と額を自分の手でなぞって……

「あつ、い……熱い、の……」

リアはふらりとベッドから抜け出した。おぼつかない足取りで、部屋のバスルームの扉を開けて、シャワーカーテンの奥へ。

この熱は、どうしたら引いてくれるのか。自分の身体に灯るその炎は……

(水……)

「冷まして」

その言葉と共に、リアはシャワーの水栓をひねった――
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