風に恋して

カラクリ

「ふっ……ククッ」

堪えきれない、とでも言うように笑い出した目の前の“カタリナ”は、だんだんと髪が金色に染まり、蝋が溶けるように肌の表面が剥けていく。脱皮するかのように変わっていく姿を、リアは呆然と見つめていた。

そして、リアの記憶と一致する姿が現れる。

輝く長い金髪を1つにまとめ、ダークブルーの瞳がリアを真っ直ぐに見つめている。女性と見紛うほどの白い肌に中性的な顔立ち。すらりと長い足は濃紺のズボン、シャツはいつだって長袖。

リアが想いを寄せていた“エンツォ”が……目の前で笑っている。

「リア、君には思ったより手こずらされたよ。本当は、研究室に誘い入れたときに君が精神崩壊をおこしてレオの絶望する顔が見られる予定だったのにね?」

クスクスと笑うエンツォの目は笑っていない。

「どうして?ずっと、私の……」
「ああ、ずっと君のそばにいたよ?最初から、ね」

変化の呪文は、確かに得意な者がいる。けれど、それでも自分の気を完全に隠して2ヶ月以上も他人の姿を保ち続けることができる人間を、リアは知らない。

レオもリアも、城の中の誰一人、気づかなかった。
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