風に恋して
その心地よく響く声が、リアの中にすんなりと流れ込んでくる。レオのすべてがリアを包むように温かい。

(どうして、私は――)

知らない、はずなのに……

こうしてレオの腕に包まれると身体が熱くなる。規則正しく脈打つ鼓動を聞くと安心する。矛盾していく、心の中。

レオはリアを待つと言ってくれている。強引だったのは、レオも心の中で葛藤していたからで……それでも、彼はリアに優しく触れてきた。

拒めなかったのは、リアだから。

レオのせいだけじゃ、ない――そう思えるのは、どうしてだろう。レオを責めることもできるはずなのに、そうしようと思えない。

リアが……彼の温もりと、命の音を、求めているから。

だんだんと、瞼が重くなっていく。

リアはこの優しい子守唄(ビート)を知っている……?

うとうとし始めたリアに気づいたレオがそっとリアから身体を離し、優しくその身体を横たえてくれる。顔に掛かった髪を払って、額にそっとキスをして。

ゆっくりと頭を撫でてくれる大きな手。

リアは瞼を上げようとするのをやめた。このまま眠ろう。温かな手の温度を感じながら。

「おやすみ、リア」

遠くから、レオの声が聴こえて……リアの意識は夢の中へと沈んでいった。
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