風に恋して
レオは寝返りを打って自分の隣のぽっかりと開いたスペースに手を置いた。

リアが眠っていた場所。

自分の隣にリアが眠らない日が来ると……あの日には考えられなかった。

なぜ、こんなことになってしまったのだろう。リアは、何も悪くない。彼女は関係ないのに。

「俺が……っ」

レオは拳を痛いほど握り締めた。

レオがこうして苦しむことだけ。それが目的ならば、最初からレオだけを貶めればいい話なのに。

リアがレオの大切な人だから――最愛の人だから。たったそれだけで、この嵐に巻き込まれたリア。彼女を守れていないレオ。

一国の王として大国を治めていても、たった1人――1番そばにいて欲しい人を守れなければ、何も意味がない。

「エンツォっ」

彼がレオを憎く思っているように、リアをこんな風に利用された今、レオも彼が憎いという黒い感情を抱かずにはいられない。

たとえ、真実を知っていても。それが、父親――オビディオのせいだと知っていても。
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