風に恋して
「ぅ、ぐっ」

力のこもったリアの手首を押さえながら、レオは呻いた。なんとか身体に力を入れて、肘を床に着いて肩を浮かせる。リアの瞳が虚ろになっていくのがわかる。

「リア様!レオ様!」

そこにちょうど駆け込んできたセストが、目の前のあり得ない光景に一瞬動きを止め、しかしすぐに我に返るとレオとリアに駆け寄ろうとした。カタリナは声も出ないようで、立ち尽くしている。

レオはセストを目で制した。

「リ、ァ……っ」
「殺して……殺して、殺して……」

何度も繰り返して呟きながら、一層リアの手に力が込められていく。

「くっ――」

レオがリアを引き剥がそうと全力で引っ張っているのにビクともしない。どこにそんな力があるというのだろう。

「リ……ア……」

レオは顔を歪めて、声を絞り出す。

「ぅっ……」

リアの身体がピクリとして、ほんの少し力が緩んだ。その一瞬で、レオはリアの手を自分の首から引き剥がした。

「ぐっ、げほっ……はっ、はぁっ」

レオは床に片手をつき、上半身を起こして咳き込んだ。
< 88 / 344 >

この作品をシェア

pagetop