跡目の花嫁さん~家元若旦那の極上のキス~
立ち止まる私たちに好奇な視線を向けていく同僚たち。



「桜瀬さんの気持ちだけ受け取っておくよ」



緑川さんは私に優しくコンシーラを返した。



「余計なお節介したみたい」


私は凹んだ。



「これって化粧品だし、男がメイクするのは抵抗があって…本当に本当にありがとう」


緑川さん、私の凹む顔を見て、慌てて、言葉を紡ぐ。



「緑川!!」


同僚の黄田川さんが緑川さんを大声で呼ぶ。



「じゃあ~また…」
緑川さんは笑顔で踵を返した。







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