幸せである理由
口にすれば忘れられると思ったのに……




行かないで。




置いて行かないで。




離れたくない。




離れたくないの。




それはただ私の想いを強くするだけだった……




「っ……助けて…!!」



(誰でもいいからこの思いを消す術を教えてください)




その時下を向いていた私に届いたのは…




―ジャリッ…―




砂を踏む音と…




「…ハァ…ハァ…っ…いた…」




―ビクッ!!!―




一番望んでしまった…一番望んでしまってはいけなかった声…




「なんっ…で……?」





聞こえた声に身体を震わせた。




顔を上げなくたって誰かわかる…




…どうして…ッ…?




どうして追いかけて来るの…ッ…?




ねぇ…蒼斗……?




心配、してくれたの…?




そんなのいらないよ…?




君を忘れるためには…


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