悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 3~
三章

1.予想外の展開





――――1月下旬。

金曜の朝。


灯里はバスの手摺に掴まりながら窓の外に広がる街の景色を眺めていた。

バスに揺られながら、朝食の時の会話をぼんやりと思い出す。


玲士は今日、有楽町で開催されている『国際機器技術展』とやらに行くらしい。

その後に行われる懇親パーティにも出るらしく、『遅くなるから』と出際に言っていた。

灯里は忍村商事にいた時に玲士とともに参加した『電機産業展』を思い出した。


――――あの時。

足を痛めた灯里に、玲士は夕飯を買ってきてくれた。

死にかけのバッタだの何だのと言いながらも、玲士は灯里をいろいろ助けてくれた。

今思えば、あの時から既に自分の心は動いていたのかもしれない。

――――悪魔のような態度の下に隠された、優しさ。

結婚した今も相変わらず悪魔ではあるが、以前に比べてかなり優しくなっている。

灯里は押上駅の前でバスを降り、会社の方へと歩き出した。




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