黒の森と、赤の……。/ ■恋愛シミュレーションゲーム□
恥ずかしさとみっともなさと立場のなさとで顔面から火を吹きそうな俺。

そんなかわいそうな俺に、小町屋と夏樹からの、まるで汚物を見るような視線が突き刺さる。


「吉良、サイッテー……(蔑)」

「お前の性根腐りきっとるな……」


<小町屋好感度、-1>
<夏樹好感度、-1>



……うががががががががッ!!!


た、確かに俺は、サイッテーで性根腐りきっとるかもしれん…。

…だがな!

こっちにだって言い分がある!!


俺は司を睨みながら、強い口調で言い放つ。


「異議ありっ!!」


某弁護士がするように、司に人差し指をビシィッ!と突きつける俺。


「原告側はそもそも、俺がウソをついていると憶測で決めつけている!!」


その異議申し立てに対して、奴は腕を組んだ後、またしてもニヤッとした不敵な笑みをつくり、こちらに向けた。


「じゃあ聞くけど、さっき七夜は、『いつから』、『誰と』、付き合ってるって言ってたんだっけ?」


完全に頭にきていた俺は、風前の灯火になった自分の立場を死守するためにも、全力で言い返す。


「そんなことも忘れたのか司!?

『一年前から』!
『隣りのクラスの子と』!

付き合ってるって、さっき言ったばっかだろうが司!
この記憶力貧弱司!
鶏脳司!」


そんな1台詞に『司』を四回も取り入れた斬新な返答(罵りとも言う)に、司の代わりに小町屋が、ハッとした表情を見せる。


「あ!!
あたしにもわかった!(閃)
…てゆうか司くんの悪口言いやがって後で覚えとけよっ!?(怒)
そしてあんた!
いつ鳴中(鳴神川中学校の略)に転校してきたのか、お前のほうこそ覚えてないの!?(呆)」


「は…?
そんなの今年の4月に決ま……

……あ゙ッ!!!」


そこでようやく、自分の犯した失敗に気づいた。
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