実鳥森の少年の初恋
「いや、きっとまた、僕の部屋にくるんじゃないかな。
しばらく人間界を楽しむって言ってたから」
緊張が伝わらないようにと、がんばって普通に話すと

図書館の係の人が、変な顔でこちらを見ます。

「ジン、出ようか」
マイが、係の人の様子に気づいていいます。

「う、うん」
そして人間界という言葉を使ったことに気づくジンです。

動物図鑑の本を借りて、ふたりで仲良く
図書館を出ます。

「ペリドに会いたいな。ジンの家に行ったら会えるの?」

「あ、いや、どうかな?今日もくると思うけど。
森でまだ遊んでるんじゃないかな?」

「でも、僕の部屋にきてみる?
面白いものがあるよ。うん、見せたいな」
急に思い出したジンは、勇気を出して言います。

「ほんと、じゃあ、おじゃまするわ」
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