続・たとえどんなに辛いサヨナラが待っていたとしても
「少し話したいことがあるんですけど、今、大丈夫ですか?」


ベッドの上で何かを読んでいたヒョンス兄に話しかけると、座るように言われたので、床の上に座った。

いつものように笑顔を浮かべている兄さんを見ていると、話すのをやめてしまおうかとも思ったけど、そんなわけにもいかない、よな。


「この前の撮影の...話をしたいんです。」


「ああ、うん。どうだった?
放送が楽しみだなー。」


正確には、撮影の時に聞いた話をしたいと言いたかったんだけど、どうやら俺は相当冷静さを失っているようだ。

落ち着いて話をしないと。

一呼吸おいてから話を続けることにした。


「その時に...、あー...、芸能界事情に詳しい人から聞いたんです。
俺たちのグループのこと。」


俺を信頼して話してくれたのに、さすがにあいつの名前を出すわけにはいかないから、名前は伏せておくことにする。

大体分かってしまうかもしれないが。

あいつだって話すのに迷っただろうけど、俺の、俺たちのためを思って話してくれたんだ。

知りたくもないような芸能界事情まで耳にしてしまうあいつのことを守ってやりたいし、支えてやりたい、なんて、ガラにもないことをその時思ってしまったことは、もう少し秘密にしておく。
< 46 / 301 >

この作品をシェア

pagetop