”キレイ”な愛

「服従させるのは、さやかの方が得意じゃない」


くちびるを歪めるように笑う。


「何事も能率が求められるでしょ。
 この件はあなたにやってもらった方が、能率がいいでしょう?」


綺樹は探るようにさやかの瞳を見つめていたが、肩をすくめた。


「悪いけど、この件は断わる
 興味ない」


そのまま綺樹は部屋を出た。

ポケットに両手を突っ込む。

夜も更け、幾分か照明が落とされ、薄暗く人気が無く、長い廊下。

綺樹はくちびるを結び、やや瞼を伏せながら、ゆっくりと歩き出した。
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