魅惑のくちびる

「素敵。見晴らしいいだろうなぁとは思ってたけど、まさかお天気がいいとこんな風だったなんてね。」


わたしは、赤米のサツマイモ入りおにぎりと、無難にツナマヨおにぎりをチョイス。

後は野菜ジュースと食後の小さなプリンもわたしの必須アイテムなんだ。


雅城だったら、自分もプリンを食べるんだと言って2つ買うところだ。

同じものを味わって、おいしいねって共感するのが楽しくて、最近ではわたしが食べたいと思ったものは率先して雅城の分も買っていた。


でも瞬は、違う味わいの方が得した気分だと、マンゴーのゼリーを選んだ。

「二人で半分ずつ食べようよ」

確かにそれはそれで、同じものを味わうってことには変わりない。

……わたしは今まで、そんな方法すら思いつかなかったよ。

雅城と一緒に同じふうに感じる時間を楽しめればって、ただそれだけだった。

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