secret name ~猫と私~
セッテに至っては、本名さえ不明だ。
まさか七海が本名だとは、思えない。

「なぁ。」

ぼんやりとサラダをフォークでつついていたら、不意に声をかけられる。

「え?」

「なんや体調悪いん?元気ないで。」

心配そうにのぞきこむ、綺麗な顔。
化粧とか女装したら、負けるんじゃないか。
でも、背が高いし手足も長いから、女性ものの服はサイズがなかなか無いかもしれない。
おかしな方向に、思考が飛んだ。

「大丈夫。週末の二日酔いが長引いてるだけよ。」

「なんぼ飲んだんや。」

安心したように、苦笑する。
嘘を吐いたようで後ろめたい気持ちになるが、本当の事は言えそうにない。
会社の規則で本名は言えないと言われているのに、まさかその事を考えていたのだとは。
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