背中を合わせて【完】
「零。」



主役を置いて騒ぐ友達の中から零を呼ぶ声で振り向くと、そこには黒髪の香奈がいた。



「元気みたいだね。いいことあったんだ?」


「うん。いいことはいっぱいあったよ。今だってそうだし。」



零が騒ぐ友達の輪を見ていると、香奈はそんな零の横顔を見ていた。



「私、ずっと零のこと好きだったんだ。私はちょっと零より年上だけど、零に惹かれるところはいっぱいあったの。でも私が憧れるものをなんでも持ってた零を、私が幸せにさせてあげることは出来ないと思ってた。だから、幸せそうな零が見られてよかったよ。」



零は突然の告白に驚きながらも、すぐにいつも通りの笑顔を香奈に向けた。
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