☆咲川さんの恋愛事情☆
─そして、自己紹介は淡々と進んでいった。
彼、越谷くんはというと、眠りそうになりながらも必死に起きていた。
なんでも、あたしがせっかく起こしてくれたから…らしい。
…別に、起こそうとしたわけじゃないんだけどね。
「……ねぇ。君」
「へっ!?あああああたしっ!?」
「…いや、君しかいないし」
「そそそっそうですね!」
突然、彼が話しかけてきた。
今は、HRが終わって、放課後。
…なんだけど、あたしは席に座ったまんま。
詩織と一緒に帰ろうと思ったんだけど…。
あの、かわいくて明るい詩織。
もう、取り巻きができちゃってる。
だから、落ち着くまで待ってたの。
ほんとは、落ち着かないからさっさと帰りたいし、廊下で待ってればよかったんだけど…。
ぶっちゃけ、気になってた。
彼のこと、ね。