不細工なあたし



『村瀬優一(むらせ ゆういち)。どうぞよろしく』


向かいの男がそう言った時は、あたしはあまりの驚きに目を大きく見開いていた。

……ちょうど、あたしの自己紹介をきいて、彼もそうなっているように。


ただ、彼はあたしではなくてグループ全体を見回すようにして喋ってたから、あたしの驚いた顔には気付かなかったみたいだけど。




さらさらの黒髪。

優し気な目元。

すらりとした身体は、たぶん実際の身長より彼を高く見せてる。

黒いフレームの眼鏡が、彼の知的で大人っぽい雰囲気を際立たせてるようだった。



「……城崎、さん…?」


微かに、しかししっかりと言葉になった彼の声に、全員の視線があたしと彼に集まった。


「え?ミコと村瀬くん、知り合いだった?」


意外、という顔で早紀がそう訊いてきた。

一瞬なんて答えたらいいのか分からなくて困ったように笑う。


「…あ、うん…。中学の時の同級生」

「そうなの!?」

早紀が確かめるように彼とあたしを交互に見た。

「そう」

と彼が頷いて言ったのを見て、周りも「へー!すごーい」と笑っている。



……すごいって、なにが!

あたしは気まずくてしょうがないよ……!!


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