matricaria
冬目と水香ちゃん、采音は1年生から波ちゃんと同じクラスだった。

特に冬目と波ちゃんを見ていると、ふたりは対等に仲が良いように見える。

素直に「いいなぁ」と羨ましかった。

「仲良くすること」について心の中で独り議論をしていると、今までわたしは何も考えないで、流れに任せて生きてきたんだということに気づいた。

中学までは、周りには当たり前のように仲良くしてくれる人がいた。

高一の時はクラスの人とは移動教室やグループ行動を一緒にする程度の付き合いしかしていなかったけど、それでも采音がいるからいいと思っていた。

だから自分から誰かと仲良くなりたいなんて思わなかった。

でも今は強く思う。

波ちゃんと、友達になりたい。

やんわりした上辺だけの付き合いじゃなくて。

・・・・・・内気で人見知りなわたしが、自分とは正反対の人気者で明るい人と、仲良くなれるのかな。

・・・・・・波ちゃんはわたしみたいな大人しそうな子、苦手なんじゃないかな。

ネガティブな考えばかり浮かぶ。

それでも、仲良くなりたいと思った。

同時にわたしは、波ちゃんに強く憧れていた。

色んな人と仲良しで、みんなと笑い合う波ちゃんがキラキラして見えて、わたしも波ちゃんみたいな人になりたいと思った。

初めて「自分」を持った気がした。

流れに任せて、自分から動かないのはもうやめる。

もっとわたしから、積極的に接してみよう。
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