恋の戦國物語


――…

もう日が落ちかけてきているというのに、なかなか起きない愛。

本当に大丈夫なのか…?

そう心配になりながら愛を見つめていると、愛の瞼がゆっくりと持ち上がってきた。

「ん…」

お…起きた。

愛をずっと観察していると、目を見開いた愛はいきなり起き上がろうとした。

…が、すかさず止めに入る。

「今は…起き上がるでない」

静かにそういうと、すんなりとまた横になった愛。

――…沈黙が続く。

少しして、愛が口を開いた。
「……ねぇ」

「うん?」

一体…何を申すのだ…?

「…あたし…何してた…?」

愛が起き上がろうとした際に落ちた手拭いを、また額に掛けながら小さな声に反応する。

ありがと、と細い声で言ってきた愛に、いや、と返す。

「そなた、廊下で泣きながら気を失っていた故…」

意識が無かった時のことを、男が女に言っていいものなのか、と躊躇いつつ、ぼそっと応えた。

「そっか」

今にも消えそうな声に、自分も不安になってくる。

辛そうな顔をした愛を見ると、自分までますます気になってきた。

…俺はこんなに心配性だったであろうか…?

未来はどこまで人間関係が発達しているかも分からない状況で、聞いてみる。

「…何があったのだ」

もしや、愛の時代でも戦が続いているのか?

愛のこの悲痛な顔に対しての疑問と、募っていく不安ともどかしさ。


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