スイートポテト・フィロソフィア
あたしみたいなノーマルから外れた人間を紹介したことを問われて、“友達”の顔に泥を塗るんじゃないか、なんて杞憂もあった。
むしろ、それが大きかったのかもしれない。
「ショートケーキでお願いします」
結局あたしは、真っ赤なイチゴが艶やかに光る、真っ白なケーキを選んだんだ。
***
「タルト、美味い?」
「うん。文句なし。料理にもデザートにも化けるなんて、惚れ直すわ」
「さつまいもに、か?」
あたしが“さつまいも”を連呼しすぎたせいなのか、単に食べたいと思ったからなのか。
同じタルトを食べながら景が言った。
しっかりとしたタルト生地が柔らかいさつまいものペーストと組み合わさっているタルトは、会話も忘れるくらい美味しい。
間のクリームも、甘すぎなくて絶妙だ。
「もちろん」
「そのさつまいものある店を見つけた俺には何かないのか?」
「してるよ、感謝」
フォークを止めない景の表情は、あたしからは見えない。
さらっと答えてから、あたしも視線をお皿に落とした。
「感謝……だけか?」