幸せのカケラ
私たちは観覧車を降りると、水族館をあとにした。

最寄駅に着き、歩道橋を歩いていた。

階段を上り切った、その時だった。

「キャァァァ!!」
と、叫び声が響いたのは。
後ろを振り向くと、うっすらとだが、街灯に照らされ、人が倒れているのが見えた。
そして、ナイフを持っている男が歩道橋を勢いよく駆け上がってきていた。

「邪魔だ、どけっ!!」
「キャッ!!」
「美乃里っ」

押された瞬間、翔は私を庇うように抱き締めた。
そして、2人で階段にゴロゴロと落ちる。

目を開けると……

「っ、翔っ!!」

翔から、血が出ていた。

「やだ、翔…っ!!」

どれだけゆすっても、翔は目を覚まさない…。

私には、恐怖しかなかった。

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