甘党狐とココア。


ルクは困ったふうに、唇を噛む。

ひどくつらい選択を迫られたようなそんな表情を浮かべている。


そしてついに小さく言った。



「…わかった。」



とても悲しそうな表情で。

ズキリと心が痛くなったけれどそれでもココはルクに死んでほしくなかった。


「ククク、それで良いのだ」


ココはふわり、と抱きしめられてルクの腕に深く沈む。

ぎゅっと抱きしめられてルクが耳元で囁く。




「…必ず、戻ってくるから」



そう言ってルクは体を離した。

温もりが消えて、悲しくなる。



ルクは大人しく、でも挑むように黒ずくめの男を睨みながらその傍へ行った。



男は懐から手錠を取り出してガチャリとルクの腕につけた。




まるで、大罪者を捕まえるみたいに。




「…僕は、犯罪者じゃないんだけど?」



同じことを思ったのかルクはドスの聞いた低い声で言う。


すると男は笑った。


「いや、これからすることがあるのでな?
お前に邪魔されたら困るからな」



すること…?



他に、何があるの?





男はにやりと笑ってこちらを見た。


「まさか…!」

ルクがさっと血相を変えて男に掴みかかろうと動く。


その瞬間手錠から鋭い電光が走った。


バチリと音がなり、ルクはそのまま倒れた。


「ぐあっ…!」


「ルク!!」



その光景が、ひどく嫌で。

さっきまで黙っていたダニエルとくろも横で身じろぎした。



それでも男は何でもないように言う。



「そこの二人も馬鹿な真似は止したほうがよかろう…

抵抗すると、徐々にあの手錠の
力は増すように出来ているからな」



その言葉にダニエル達も、ココも凍りつく。


ココはぎゅっと手を握りしめた。


何もできない自分が、特殊な血をもつ自分が、
腹立たしくて、悲しくて。






男は言った。






「苺の血をもつ人間の娘よ、
お前にも来てもらうぞ」


< 62 / 62 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

夏の月夜と狐のいろ。

総文字数/87,208

ファンタジー195ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
千里眼をもつ九尾狐のシアン。 シアンは大事に育てられ、 森から出たことすらなかったのだが、 いつの日からか人間に興味をもつ。 そんなとき 森に迷い込んだ少年と出会う。 「明日もまた、ここに来ていいかな」 「うん、もちろんよ!」 人間の少年、ノエルと 毎日会うようになったシアン。 けれどシアンの森が人間に襲われて…? 「だまっててごめん…俺は」 魔術師×九尾狐のちょっぴり西洋風ファンタジー。 獣と、瞳シリーズ2弾。 (続編ではありませんが 前作を読むとさらに楽しめます^^)
夏の日差しと狼のいろ。

総文字数/135,364

ファンタジー376ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
狼と人間のハーフで 狼耳のツキは物見小屋で飼われていた。 ある日ツキは脱走を試みるが、 ばれて命の危機に晒される。 そんなときウルーと名乗る 幻想的な青年に助けられる。 「・・・ツキは俺のものだ」 銀色の髪と漆黒の瞳。 不器用で、鈍感だけれど嫉妬深くて。 そしてそのあまりに美しい姿に ツキは心惹かれていくが彼は本当に狼で…? 獣系冒険ラブファンタジー。 獣と、瞳シリーズ。
虎猫ゆうゆ。

総文字数/4,701

ファンタジー17ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
人のことばがわかる虎猫のゆうゆ。 ゆうゆは昔、家族を人間に奪われて 人間をひどく恨んでいた。 そんなとき猫の言葉がわかる人間、 茜に出会ってー…? 少しずつ心を解いていくゆうゆと茜の 感動ファンタジー。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop