タイトルなしの物語


春香ってこんなに泣き虫だったか?


俺はそう思いながら春香の頭を撫でる。


「いつもの春香じゃないみたい…」


「大河の…せいだよ…」


そっか…。


昔から、親の前で強がってた春香。


でも、あっちゃんと俺の前でだけは本音を言ってくれた。


「俺…元気になって戻るから」


「手紙書いて?」


春香は俺の服をギュッと握る。


「うん、いっぱい書く」


「電話して?」


「うん、いっぱいする」


俺は、涙でぐしゃぐしゃの春香の顔にキスをした。


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