猫が好き!


「侵入の後始末が済んだんだから、私がどうなろうと放っといて逃げればいいじゃん」

「できないよ、そんな事!」

「なんで? たとえそいつが強引な直接交渉に来たって、私には辺奈商事の極秘データにアクセスできる権限はないし、おまえのように権限無視して引っ張り出す事も出来ないんだし。おまえに連絡のつけようがなければ、私には人質の価値もないでしょ?」


 シンヤは真顔で、真っ直ぐに真純を見つめた。
 そして声のトーンを少し低くして問いかける。


「本気でそんな風に思ってる?」


 あまりに真剣な眼差しにドキリとして、真純は少したじろいだ。


「どういう意味?」


 真純の言葉に、シンヤは眉をひそめて、苛々したように言う。

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