猫が好き!


 突然シンヤが苛々したようにわめきながら、叩くようにしてアラームを止めた。
 そしてそのまま身体を離し、隣にごろんと仰向けに転がる。

 重しがなくなったので、真純は身体を起こした。

 目覚まし時計が鳴っただけで、あっさりと退いたシンヤが意外で、じっと見つめる。

 シンヤはふてくされた表情で、吐き捨てるように言った。


「これからって時に、タイムアップかよ」
「タイムアップ?」
「真純のタイムスケジュールを狂わせたら、ごはん抜きなんだろ? それはイヤだし」


 相変わらず妙なところで律儀なシンヤに、真純は思わず吹き出した。


「笑わなくてもいいじゃん」


 不愉快そうに顔を背けて、シンヤは口をとがらせる。

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