猫が好き!


「別に、そんな事……」


 しどろもどろに否定すると、シンヤはからかうような笑顔で顔を覗き込んだ。


「またまたぁ、素直じゃないよね。酔った時は素直なのにさ」


 動揺は不安に変わり、真純はシンヤに詰め寄る。


「もったいぶらずに教えてよ! 私、何を言ったの?」

「僕が部屋を出て行こうとした時、どこにも行かないで、ずっと側にいてって、半泣きで縋り付いてきたんだよ」


 恥ずかしすぎる!

 あまりの恥ずかしさに、再び顔から火を噴きそうになっていると、シンヤにフワリと抱きしめられた。


「大丈夫だよ。もうどこにも行かない。ずっと側にいるから」


 シンヤの腕の温もりに、テンパっていた心が次第に静まっていく。


「……うん」


 小さく頷いて、真純はぎこちなくシンヤの背中に腕を回した。

 シンヤはクスリと笑い、ギュッと真純を抱きしめた。




(完)


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