猫が好き!


 代わりに真純が、平日は今まで通り、軽く掃除する事にした。

 朝シンヤを送り出して、仕事をしたり掃除をしたり、そうやって動いている時は、今までと全く変わりない。

 ただ合間にホッとひと息ついた時、ふと家が広く冷たく感じてしまう。
 ちょうどシンヤが出て行ったあの時のように。

 そして明確な言葉を伴った、あのわがままな欲求が、不意に頭をもたげる。


—— どこにも行かないで。ずっと側にいて ——


 納得のいかない状態で、シンヤを失ったあの寂しさが、もう心配いらないのだと分かっていても、シンヤの姿が見えなくなるたびに、ぶり返す。

 そう考えると、やっぱり溺れているのかもしれない。

 いい年して八つも年下の子に、と思わなくもない。

 そんな真純の心中を知ってか知らずか、シンヤは毎日きっちり定時に仕事を終えて帰ってくる。

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