猫が好き!


 鍵をかけるのを止めようとしていた矢先に、そこを突かれて無性に苛つく。

 その気持ちのままに、思ってもいない言葉が口をついて出た。


「そういう事がしたいんなら、そういう女のところに行けば?」


 一瞬目を見開いて、シンヤは顔を歪めると、勢いよく席を立った。


「もういい!」


 そう言い捨てて、足音も荒く二階に消えて行った。

 大きくため息をついて、真純もゆっくりと立ち上がる。
 リビングの灯りを消して二階へ上がろうとした時、階段でシンヤと鉢合わせをした。

 見ると上着を羽織って、出かけようとしているようだ。


「どこ行くの?」


 真純の問いかけに、シンヤは憮然として答えた。


「そういう女のとこ」
「は?」


 呆気にとられる真純の横をすり抜けて、シンヤはそのまま外に出ていった。

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