猫が好き!


「そんなにホッとされても複雑だけど、でも僕、真純さんがその気になるまで、何年でも待つよ。だってもう二度と泣かせたくないし、失いたくないから」


 どうしてそういう事をサラリと言うのだろう。
 胸の奥が甘い痛みに疼いて、今すぐにでも許してしまいたくなるではないか。

 でもそれを口にするのは恥ずかしいので、グッと踏みとどまる。

 シンヤはイタズラっぽく笑いながら提案した。


「そうだ。真純さん分かりにくいから、その気になったら僕に合図してよ」
「合図って、どんな?」
「キスして。真純さんから」
「え……」


 それは強引に押し倒されて、なし崩し的に許してしまうより、ハードルが高いような気がする。

 顔を引きつらせる真純を見て、シンヤが吹き出した。

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