猫が好き!


 もちろんそれは最悪の事態だ。
 そんな事にならないように、慎重に事を運ばなければならない。

 不安そうに見つめる真純を、進弥は笑いながら抱きしめた。


「そんな顔しなくても大丈夫だよ。いきなり危ない橋は渡らないって」
「……うん」


 真純はホッとしたように、少し笑顔を見せた。

 とはいえ、真純を騙すつもりはないが、危ない橋を渡らないためにも、ハッキングなしでは正直厳しいだろうと進弥は思っていた。

 アンダーグラウンドは一年以上もご無沙汰している。
 どんな風に様変わりしているのか見当も付かないのだ。

 一般の人々が普通にアクセスしている表のネット世界でも、日々新しいサイトやサービスが泡のように生まれては消えている。

 法に触れるような怪しいサイトがひしめいているアンダーグラウンドでは、わずか数時間で閉鎖してしまうサイトも珍しくはない。

 あの掲示板が今も健在だった事に、進弥は少なからず驚いていた。

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