猫が好き!


 今すぐは勘弁してもらいたい。
 まだ身体がだるいのだ。
 いや、だから今すぐでなければいいのかというと、それも微妙で。
 かといってイヤというわけでもない。

 シンヤはまるで宝物でも扱うかのように、優しく触れてくれた。
 いやいやいや、何を生々しい事を思い出してるんだ。
 ——と自分でツッコミを入れていると、シンヤがクスリと笑った。


「冗談だよ。真純さん、まだ仕事が残ってるんでしょ?」
「うん」


 そうだった。ほとんど手を付けていない。


「タイムスケジュール狂わせちゃったね。ごめん。罰として夕飯は作らなくていいよ。僕がおごるから何かデリバリー頼もう」

「わかった。おまえの好きなもの頼んでいいよ」


 真純の身体が本調子でないことを、きっとシンヤは見抜いていたのだろう。
 なんとなく手のひらの上で転がされている気分だ。
 だが悪い気はしない。

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