猫が好き!
それで名付けた時、驚いたような顔をしていたわけだ。
瑞希が言うには、シンヤはいつも唐突にアングラサイトの掲示板に現れて、サイトのアドレスを書き込んでいく。
アドレスは毎回違うようで、一定時間が経過すると繋がらなくなるらしい。
客からメッセージがあると、必ず現れていたシンヤが、ここ三日間姿を現さないので、何かあったのではないかと、勝手な憶測で盛り上がっているのを瑞希は見たという。
「その掲示板のアドレス教えて」
シンヤの素顔を確かめたくて尋ねると、瑞希は即座に拒否した。
「ダメよ。そういう怪しいサイトがひしめき合ってるアンダーグラウンドは、素人が無防備にうろついたら痛い目に遭うわよ。知らない間に怪しいクッキーやウィルスを仕込まれたり、個人情報を抜き取られたり、覗いただけでブラウザやマシンをクラッシュさせるサイトもあるんだから」
「でも瑞希は無事だったんでしょ?」
「私は素人じゃないもの。それにハルコのガードがあったし。ハルコの検索履歴を辿ったんだけどね」