君に告げよう

永輝くんが彼女とともに過ごした日々は、一年にも満たない、たった数ヶ月だった。


それまでは感情を露にしなかった永輝くんだったけれど……。

彼女と出会ってからの永輝くんは、初めて僕たちに人間らしさを見せた。


そして、あの日……――。

僕だけが見た、永輝くんの涙。



『きっと、俺も忘れることができるから』



永輝くん。

人は確かに忘れることができる生き物だよ。


でもさ……。

大切な人との思い出だけは、記憶を操作されない限り、決して忘れることができないんだよ。


< 2 / 301 >

この作品をシェア

pagetop