海辺で恋するシンデレラ

そんなの分かんない。

でも、でもこんなのイヤなの・・・。

何かが違うって、頭の隅の方で叫んでいるんだもん。


次の瞬間、店を飛び出していた。


そして、走った先にあったのは砂浜だった―――――


「なんで、こうなるんだろう。」


夕陽に染まる海辺を見ながら

ぽろぽろと零れてくる大粒の涙を、何度も拭う。


「あれ?海桜ちゃん?」


こ、この声は・・・


「藤堂、さん――――」


藤堂さんの顔を見た瞬間、私は彼に抱きつき大声で泣き始めてしまった。

彼は驚いた顔をしたけれど、泣いている理由を聞く事もせず

ただ静かに、私が泣きやむまで背中を優しく擦りながら側に居てくれた。


「う・・んっ・・ごめ、んなさい。突然、こんな・・・」

「無理しなくていいよ。俺の胸で良ければ、いつでも貸しちゃうから。もちろん、海桜ちゃん限定で。」


茶目っ気たっぷりの笑顔を浮かべながら、ギュッと抱きしめてくれた。



藤堂さん、とっても温かい。

なんだか安心する――――何故だろう。

< 27 / 218 >

この作品をシェア

pagetop