デキちゃってない結婚
「もぉあの真希ちゃんって子、また在庫品の数書き忘れてたのよ、絶対わざとよ、私を困らせようとしてんのよ、ちょっと可愛いからって調子に乗ってんのよ」

 佳奈は春菜の癖をよく知っていて、テキトーに頷いて共感してるフリをして、渡されたとんこつ大福の箱を台車に乗せた。

「私さぁ、真希ちゃんぐらいの歳の時は真希ちゃんより断然可愛かったと思うのよね」

「そうなんですね」

「それにさぁ」

「あっあの、私先行ってきます」

 春菜の言葉に被せるように言った佳奈は、台車を押して逃げるように業務用エレベーターへと向かった。

< 272 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop