唇が紡いだ言葉
先輩からの、その人の特徴。

とりあえず、真っ黒でメガネの人だよ。

結構ザックリとした説明。
本当かな?
先輩の姿は見当たらない。
だけど、メガネで、全身真っ黒の人が、私を見ていた。

わぁ。
本当に真っ黒。
黒のTシャツに、黒のジーパン。
おまけに、髪もメガネも靴も黒い。

「こんにちは~…」

人見知りしない性格でも、先輩がいないし、この人!って確証はないし…。
まぁ、真っ黒だから、十中八九、この人だけど。

「あぁ、メイちゃんの後輩の…?」

「はい、夏姫、って言います。」

「夏姫ちゃんね。俺は横山、皆よこ、って呼ぶから。」

「よこさんですね。それにしても、メイさん…まだかな…」

少し待っていると、メイさんが小走りでやって来た。

「ごめん、遅れちゃって…この人がよこさん。この子が夏姫、じゃぁ、行こっか。」

簡単に挨拶を済ませて、カラオケまで三人で向かって行った。
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