お姫様は王子様を演じてる



そんな時、私の耳にパンパンと手を叩く音が聞こえて、視線をそっちに向けると悠斗がマイクを持って立ち上がっていた。



「さて、縁も武長ですが…今日はそろそろお開きになりまーす」




悠斗…縁もたけなわって言いたかったのかな?
武長って誰か人の名前…?信長の友達?




「えー、帰りたくないー」


アフリカンの一人がそう声を上げてちらりと澪に目をやる。



まぁ、澪が起きたのさっきだもんね。



けどソイツは止めといたほうがいいって。
性格が半端なく悪いから!


「……うるせえ女、俺は先に帰る」



澪はそう捨て台詞を吐くと自分だけスタスタと部屋を出て行ってしまった。



「ごめんね、澪はあんな奴だからさー。
良かったら俺に連絡ちょうだいよ」



ガキは嫌いなはずのケイはそう言って、泣きそうな顔をした女の子にサッと自分の連絡先を書いた紙を渡していた。



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