お姫様は王子様を演じてる



口答えをして、明日もミニトマトなんて絶対に嫌だから、仕方なしに鼻を摘んでポイポイ口にほうり込む。


よく噛みもしないで無理矢理ゴクンと飲み込んだ。



「食べました…」



「よし!!では学校に行くがいい!!」



「あの、みんなは…??」


「悠斗はまだ寝てる。
ケイはすでに学校に行った。
澪は……」



兵藤が言いかけたと同時に不機嫌そうな声が聞こえてきた。



「………メシ」



澪の声に昨夜の恐怖が蘇る、嫌がっても離されることのない腕。



生々しい舌の感触…
見下すように私を見る澪の冷たい視線。



急に動悸が激しくなって、鳥肌が首筋まで這うように浮かび上がる。



今まで感じたことのない恐怖に私は戸惑っていた。


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