しあわせうさぎのおはなし
やわらかい日差しが降り注ぐ春、今年で2歳になる女の子がぼくの耳をよだれで濡らしながらすやすやとお昼寝しています。その横では、女の子のおかあさんが優しく子守唄を歌っています。
あの日、ぼくをごみ捨て場から拾い上げてくれたのは、くーちゃんの部屋に遊びに来ていた彼でした。彼は慣れない手つきでぼくを洗濯した後、くーちゃんにぼくを返してくれました。大事なぬいぐるみだったんだろ、と笑いながらぼくを手渡した彼とは正反対に、ぼくを受け取ったくーちゃんは少しだけ泣いていました。
そして今、くーちゃんは彼と結婚し、かわいい女の子も生まれました。そう、ぼくの隣で寝ているこの子です。
ぼくがいつまでこの子のぬいぐるみでいられるかはわかりません。でも、ぼくがこの子のぬいぐるみでいられる限りこの子を幸せにする手伝いをしていきたい、そう思うのです。