恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》


「す……好きだ、菜緒。
瑞穂とは、別れる。
もう……気持ちはお互いに離れてた。
俺は……菜緒が、好きなんだ」

「………」

目が……キラキラしてる。
やっぱり綺麗。
悔しいけれど、私の五感全てが司を感じたがってる。


「もっと……司を感じたい」

「え?!…なっ…、」

狼狽える司が可愛い。
こんな顔を見たのは初めて。
もっといじめたくなる。

………チュッ。

背伸びをしてその唇を奪う。

「……!!!おっ……おま……!」

私は彼の細い手を、クッと掴んだ。
指を絡ませてギュッと握る。

……友達じゃ出来ない事。
これから、いっぱいしていこうね。

「大好き。司」

彼は目尻をクニャッと下げて私の大好きな笑顔をくれる。

「……小悪魔め……。
俺……道を誤ったかな……」

彼の呟きに私は聞こえないふりをした。




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