恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》


そんな事を考えながら彼女をじっと凝視する。
……ふと、顔を上げた海ちゃんと目が合った。

………あ、やば……。

俺が目を逸らす前に、彼女がパッと目を逸らした。

………。

俺の視線くらい、気にもならないか。

そうだよな。
ただのクラスメイトで口もろくに聞いた事がないんだから。


俺は海ちゃんから目を離すとふと窓の外を見た。

夏を語る入道雲が空の彼方にモコモコと浮いている。

いつか………。
いつか、出来る事なら君と海に行ってみたい。

空と、海が、青く光る、そんな景色を二人で見てみたい。

俺は叶うはずのない遠くの海に、思いを馳せていた。





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