東條くんのとある1日


「うおー。超いい匂い!」

「食いてぇ!ちょうだいちょうだい!」


教室に戻れば待ってましたと言わんばかりの男の子たちがテンション高めに騒ぐ。

それに楽しそうに返事をして、えーとか言いつつカップケーキを渡す女の子たち。



「(青春っぽい…!)」


すごい…!と感動していたのも束の間。私の横をぱたぱたとかけていったクラスの子が、そのまま机にうつ伏せる東條くんに声をかけた。



「東條くん!あの、これさっきつくったんだけどね?」

「…ん。」


ついさっきまですっごいきらきらした笑顔でサッカーしてたくせに。

もう半分寝てたのか、興味なさげで激しくだるそうに顔をあげて曖昧に頷いている。

ただのだるーい表情なのに着替えたばかりで暑いのか第二ボタンまでシャツが開いてるし、かなり色っぽい。


そのやり取りをなぜかどきどきしながらさりげなーく視界にいれる。

眠そうな東條くん相手に女の子は必死だ。



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