東條くんのとある1日


と。綺麗な手でお箸を動かす東條くんを白米片手に眺めていたら。

ぱたぱたと柔らかいスリッパの足音がしてママさんが入ってきた。



「学校行かないのー?」


「はっ!」

「やべ」


がたがたと立ち上がってしっかりごちそうさまをする。走らなくてもいいけどもう出なきゃまずい。

ママさんにお礼を言ってローファーに足をいれる。



「菜乃、傘持ってきた?」

「晴れてるよ?」


朝日がさんさんと降り注ぐ眩しい窓ガラスを見ると、東條くんが呆れたように私を見た。



「午後から降るんだよ。持ってくか?」

「んや大丈夫。学校に置き傘あるはず!」

「忘れ物は?」

「大丈夫大丈夫!」

「うし。行くか」

「おっけー!」





ドアをあける。朝日の光がきらきらと彼にも私にも降りかかる。

白いワイシャツが眩しくて、抱き締めたくなる心地で胸がいっぱいになった。






AM7:34



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