東條くんのとある1日


「東條くん、それ。どーするの」

「……。」

「とーじょーくーん」


「…………、行ってくるわ」

「はあーい」

「語尾伸ばすと馬鹿にしか見えない」



くしゃっと私の前髪を撫でてから東條くんはさっき脱いだ靴を履いて玄関を出ていった。

残された私と再び下駄箱に戻されたファンシーなくまさんたち。


寂しいね、と心のなかで呟いてから朝から告白に呼び出されてしまった人気者の残り香を探した。








―――――「東條くん、今朝も呼び出しなの?!」


ひとりで教室にやってきた私を見てクラスの子たちがわーきゃーと騒ぐ。

なんと今私と東條くんは同じクラス。

私たちが幼馴染みであることも周知な事実のためかいじめられはしないけど情報は搾り取られる。気がする。


楽しげな問いかけにこくんと頷くと彼女たちはまたきゃーと可愛らしい声をあげた。



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