まだ私たちの間につける名前はない。




「…お前さー、何年彼氏いないの?」


『え?…半年、…一年?』


「へぇ。そろそろ欲しくなんねぇの?」


『そう、だねぇ。なに、いい男紹介してくれんの?』






誰か早く、
私の中からあの子を消して欲しい。




合コンでもなんでもいいから。




そんな思いで返事を返した。











「いい男?目の前にいんじゃん」


『はぁ?どこどこ?壁しかないんだけど』









またいつものじゃれ合い。
…そう思ってたのに、いつになく雅弘の顔が真顔で動きを止めた。











「俺は圏外か?」


『はぁ?』










私にはこれが冗談なのか本気なのか、測りきれずにいた。










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