龍奇譚-彼の想い-
俺も俺で、密かに用意していた札を胸ポケットに仕舞い込んだ。
念には念を、万が一、億が一を考えてな。
しかし、峰が霊力を抑えてくれたんだ。
こっちにも戦う意思はないと、示した。
「…で、母さんはどこだ」
睨み付ける様に、威圧的に峰が言った。
そして、その後の言葉には、早く、教えろ。が続くのだろう。
「早く言え」
ああ!!!惜しい!!!!!
そっちだったか。
呑気にそんな事を考えている自分が馬鹿らしい。
さて、と。空気を入れ替えよう。
一度、深呼吸をする。